菜の花プロジェクト
『わのかおり』誕生まで
大木町菜種生産組合
組合長 今村利光さんに
お話を聞く。
みる、たべる、つかう。何役もこなす菜の花を育てています!
(大木町 特産品販売 「わのかおり」)
今村さんは、なぜ菜種油を作ろうと思ったんですか?
今村さん
昔の暮らしは、今みたいにコンビニもスーパーもなく、なかなか油が手に入らんやった。だから、それぞれの自家製の菜種油を作ってたんですよ。
日本人は、江戸時代より前から行灯の燃料として使っていたし、そのもっと昔も、菜の花を野菜として食べよった。
菜の花を楽しんだあとは、種を取って油にする、そんな昔の自然な生活を今も続けよる、ただそれだけやんね。
私が作った菜種油を「美味しかった」といってくれて、リピーターになる人が多いもんね。私は、「この油でないと」という人のために作り続けたいと思ってます。
いつ頃から菜の花を育てているんですか?
今村さん
滋賀県の菜の花プロジェクトが全国的に広がって、大木町でも有志で始めたのがきっかけやったね。そこに私もメンバーとして加わった。
農家の智恵と道具を提供できるということが私の強みやったかな。
kaori:開催するたびに多くの人で賑わっていますね。
今村:2009年から現在まで続きよるけど、地域の人の協力でここまで盛り上げることができたとやんね。
菜の花も、種の植え付けから子ども達が参加する時もあった。みんなが、「自分が育てた景色」という気持ちをもってもらえたから、今も続けていけよるとじゃないとかな。
毎年ね、田んぼ一面に花が咲くころになると、道を通りかかった人が足を止めて「わ~!きれいやね~」って言ってくれる。
遠くから足を運ぶ人も増えていったとよ。
嬉しいですね。
今村さん
悪か気はせんね〜。
蜜蜂もたくさん集まってきますね。
今村さん
ふふふ。
家庭で油を使ったあとは、車の燃料などに使われていますよね?
今村さん
そうそう、食用油にして終わりじゃない。
大木町は循環のまち。
この菜の花は、まさに資源循環サイクルにぴったりの植物でね。
廃油からバイオディーセルという液体燃料が作られているんですよね?
今村さん
そうそう、そうです。植物系油などを原料として製造されたディーゼルエンジン用の燃料ね。
ほかにも、生ごみなどをメタン発酵して作る「くるっ肥」というバイオガス肥料も大木町では作られています。
でも、それだけじゃなくてね、菜種油を作る過程で生まれる油かすも捨てません。
これは、私たち農家の大切な肥料になります。何一つ無駄にしない。
この肥料も、欲しいという人が増えよる。少しずつ、「わのかおり」から人の繋がりができてくる感じやね。